「子供は風の子」…、今では死語ですか?
日が暮れるまで遊び回っていた幼い日。ケガと泥まみれになって家に戻ると、割烹着姿の母に食べる物をねだっていた記憶があります。
豊かではなかったあの頃。未来も過去も無くて、ただ目に見える範囲の狭い世界で、小さな出来事に泣いたり笑ったり。でも、何故でしょう。その頃の感情の記憶が殆ど残ってはいません。毎日が平凡過ぎたからなのでしょうか。思い出せるシーンにも、人と関わった喜怒哀楽が具体的な記録として残されてはいないのです。
なのに唯一、雨の日に明かりの差し込む廊下でしていた粘土細工の思い出だけが鮮明に残されています。
何でも生み出す事が出来ました。創造力と工夫次第で、どんな物でも手にする事が出来たのです。私が私自身の価値を感じる事の出来る世界でもありました。
今もシトシトと降る雨音を聴くのが好きです。心のどこかで、幼い頃の自分にいざなわれて行くのでしょう。
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